5年前、Fracht USA社はそれまで使用してきた旧型のオペレーティングシステムをアップグレードする必要があることに気が付いた。顧客により良いサービスを提供し市場で競争力を保つには、テクノロジーに対する同社のアプローチを変える必要があると確信したのだ。

同社がこれまで行ってきた数々の合併買収が原因で、複数のシステムがパッチワークのように継ぎはぎ状態でうまく連携せず、その結果業務が遅延している、とFracht USAのCEO、Reiner Wiederkehr氏は語る。

「トップクラスの社員が日々絶えず貨物を動かしている。しかし旧型システムの能力には限界がある」。

Frachtグループは40を超える国々に115のオフィスを設けている。中でもFracht USAは北米に9つオフィスを擁し、貨物輸送、倉庫保管、流通、トラック輸送、海上、航空、および鉄道輸送サービスを提供する。

「当社はグローバル企業だ。そのためグローバルなサポートに対応できるグローバルシステムが必要だった。我われは多くのシステムを厳しく吟味し、時間をかけてシステムを選んだ。最終的には全経営陣がCargoWise導入に賛成した。その理由はCargoWiseが市場で最高の製品だからだ」とWiederkehr氏はCargoWise導入の決定に至った経緯を説明する。

また同グループのオーストラリアオフィスがCargoWiseを早期から使用していたことも、Fracht USAがCargoWiseを選んだ当然の理由だった、とWiederkehr氏は言う。

「オーストラリアの経営陣はCargoWiseに非常に満足しており、過去20年以上にわたってこのシステムを使用し成功を収めてきた。 そのためこれは当社にとって容易な決断だった。またこのプラットフォームの導入過程でオーストラリアオフィスに指導を求めることができたのも、大きなメリットだったと言える」とWiederkehr氏は語る。

ビジネスの手法を変える

Fracht USAは組織として、また同社経営陣を挙げてテクノロジーを積極的に受け入れ、それが同社と顧客にもたらす価値を認識している、とFracht USAの業務・コンプライアンス部長、Regina Cross氏は語る。

同社はCargoWise導入を機に、オペレーティングシステムを一新しただけでなく、ビジネスの手法も大きく変えていった。

「テクノロジーと業務プロセス面での顧客サービスへのアプローチに何ら変わりはない。しかし同社が一変したのはマイルストーン、KPI、レポート作成のプロセスの標準化で、これは社員にとって大きな変化だった」。

こうした大きな変化の影響を考慮して、同社はCargoWise導入を段階的に行った。従業員研修と変革管理を優先させ、社員にしっかりと情報を伝え理解を得られるようにした。

「業務プロセスが変わるため、何よりもまず物事をゆっくりと進めることにした。いろいろな機能を追加する前に、まず業務チームがシステムに十分に慣れる必要があった」とCross氏は言う。 

「社員に不要なプレッシャーをかけたくなかった。そこで従業員研修とシステムの習得に時間をかけ、CargoWiseを隅々まで徹底的に理解するようにした。

「またCargoWiseのスーパーユーザーにも何人か手伝ってもらった。米国各地にコンサルタントチームがあり、現在も彼らのサポートを受けている」とWiederkehr氏も話す。

「変革にあたって社員の賛同が得られることは重要だった。そこで導入前に詳細な情報を社員に提供し、準備する時間を与えた。またシステムの訓練の機会も十分に設け、継続的なサポートも提供している」とFracht USAの業務プロセス部長、Julie Melton氏は述べる。

 

データに基づく意思決定

導入から3年経った現在、Fracht USAはテクノロジーを積極的に活用し、その投資成果の恩恵を享受している。

リアルタイムの可視性、詳細な財務レポートの作成、そしてデータ品質の向上により、同社の業務プロセスがスピードアップし、これまで以上に迅速に戦略的決定を下すことができるようになった。 

「CargoWiseの可視性とレポート作成機能は特に我われ経営陣の多くが毎日使用するものだ。財務活動から出荷貨物の会計業務に至るまで、CargoWiseを使用すれば同社のビジネス全体で何が起こっているか、その全容がしっかり把握できる。

「特に財務面での可視性について言えば、CargoWiseは同社の財務会計処理を細かく分類し 実際に活用できる情報にまとめてくれるなど、大変役に立っている。CargoWiseの可視性は本当に大きな強みだ」とCross氏は述べる。

Wiederkehr氏も同感だ。「特にCargoWiseの会計モジュールで作成されたレポートに目を通すのが、毎日の楽しみだ。必要な情報がすべて一カ所に集約され、ビジネス全体の財務状況が可視化されているため、大きなメリットとなっている」。

「またデータ品質が大幅に向上した。いつレポートに目を通しても、重要な決定を下すのに必要な情報がわずか数分で目に見えて分かる」。

より強固な顧客関係の構築

CargoWiseを導入したことで、同社は『各顧客のニーズに応じた従来とは異なるソリューションの提供』という目標の実現に時間を割くことができるようになった。

旧型システムのようにデータの重複や複製の必要がなくなり効率性が向上したため、同社は顧客サービスの質向上により注力できるようになった、とMelton氏は言う。

「当社はペースの早い業界で事業を行っており、顧客からはあらゆる物事においてスピードを求められる。CargoWiseのおかげで我われは商品を迅速に輸送することができ、同時に柔軟性と可視性という付加価値が付いてくる。

「当社は顧客に正確なデータを提供することができ、またレポート作成では定時化とカスタマイズが可能だ。そして顧客が最も重視する貨物の出荷状況を即時に可視化することができる」。

「中には何十年にもわたって当社が関係を築き上げてきた顧客もいる。CargoWiseのおかげで、当社と顧客との信頼関係はこれまで以上に深まっている。なぜなら我われは誠実で透明性を保ち、納期を守るからだ」とWiederkehr氏は語る。

 

デジタル変革の旅を続ける

今後一年間は、顧客のみならず社内のオペレーターに、より良いサービスと可視性を提供することに焦点を置いていく、とMelton氏は説明する。

「我われがいかに迅速に顧客のニーズに対処しているかについて、顧客からよく感想をいただく。そこで当社は顧客体験の向上とリアルタイムでのサポートを優先事項としている。

「その実現に向けて、当社は顧客ポータルツールを導入し、また自動化と業務プロセスの合理化をさらに進めるためにAI(人工知能)と機械学習に目を向けている。オペレーターが即座に情報にアクセスできるようにしたい。そうすれば彼らは顧客に出荷状況の最新情報を提供し、 質問に素早く答えるなど、 顧客をしっかりとサポートすることができるのだ」 とMelton氏は述べる。

Fracht USAの未来は明るい、とWiederkehr氏は言う。

「我われは世界115カ所にオフィスを有するグローバル企業だ。確固としたビジョンと戦略を持ち、そして世界中の非常に優れた社員がこのビジョン実現に向けて懸命に働いている。

「将来的には、Frachtグループのより多くのネットワークにCargoWiseのプラットフォームを展開していく可能性がある。

「CargoWiseは多くの可能性を秘めている。今後当社がマイルストーン実現に向けて取り組んでいく上で、我われがまだ十分に活用していないモジュールにも手を広げていくつもりだ」。